2007年から導入されたクライマックスシリーズ(CS)は、レギュラーシーズンを勝ち抜いたチームに新たな挑戦の機会を与える、短期決戦ならではの舞台だ。04年にパ・リーグで先行して実施されたプレーオフを源流に、日本シリーズ進出を決めるための重要な制度として定着している。ペナントレースの積み重ねとは異なる一発勝負の緊張感と、下位チームが上位チームに挑むドラマ性が、プロ野球に新しい価値をもたらし、数々の名勝負と名場面を生み出してきた。ここでは、両リーグの過去の戦績や名勝負、そして記憶に残る名シーンを紹介。
2008.10.20(京セラドーム) セ・CS第1ステージ第3戦
中日 2-0 阪神
クライマックスシリーズ第3戦、阪神と中日が1勝1敗で迎えた決戦は、8回まで両軍無得点。9回に阪神の守護神・藤川球児が登板するも、中日は二死三塁の好機をつくり、四番タイロン・ウッズがフルカウントから藤川の直球を左中間へ放り込み試合を決めた。落合監督は「これが野球の醍醐味」と評し、ラストゲームで敗れた阪神・岡田監督は涙の藤川に「最後に打たれたのがお前でよかった」と声をかけた。
2013.10.13(甲子園) セ・CS第1ステージ第2戦
阪神 4-7 広島
16年ぶりのAクラスで初のCS進出を果たした広島に対し、阪神は第1ステージで苦戦。第2戦も敗色濃厚の9回二死一塁、引退が決まっていた桧山進次郎に現役最後の打席が回る。代打で登場すると右翼ポール際へ劇的なホームランを放ち、球場は大歓声。44歳3カ月での一打は、今もポストシーズン最年長本塁打として記録に残っている。
2018.10.14(神宮) セ・CS第1ステージ第2戦
巨人 4-0 ヤクルト
クライマックスシリーズ第1ステージ第2戦、巨人のエース菅野智之がシーズンの勢いそのままにノーヒットノーランを達成。先勝して迎えた一戦でマウンドに上がると、持ち味の制球力が冴えわたり、小林誠司のミットめがけて投げ込まれるボールはヤクルト打線を完全に封じ込めた。奪三振は7つにとどまったものの、凡打の山を築き、許した走者は7回二死から山田哲人に与えた四球のみ。113球での快投に「最高の気分。途中から完全試合を狙っていたので四球は悔しい」と語った菅野の姿に、敵地のヤクルトファンからも惜しみない拍手が送られた。